形状記憶ポリマー
形状回復性と形状固定性
T>Tgの高温では、本ポリマーは小さな応力で容易に変形する。この場合、最大ひずみを一定に拘束してTg>Tの低温まで冷却すると、熱収縮に対する抵抗として応力が増加する。これは回復応力と呼ばれ、負荷時応力の約2倍の大きさになる。この状態から低温のままで除荷すると、高弾性率のために最大ひずみとほぼ等しい残留ひずみが得られる。 この性質は形状固定性と呼ばれる。 この低温状態では、弾性率および降伏応力が共に高いので、弾性範囲内で大きな荷重を受けることができる。低温除荷の状態から無負荷の下でT>Tgの高温まで加熱すると、ひずみは消滅し、材料は元の形状に戻る。この性質は形状回復性と呼ばれる。
Tg=45℃のエーテル系ポリウレタンについて、65℃の高温で負荷し、最大ひずみ100%一定で25℃の低温にし、低温のまま除荷し、無応力下で65℃に加熱する操作を10回繰り返した場合の応力‐ひずみ曲線を下記の図に示す。
熱・力学サイクル試験での応力‐ひずみ曲線